希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

秋の風が、聞き覚えのある声達を運んで来たので、僕はこの場から、一刻も早く立ち去りたいと思った。しかし、それは間に合わなかった。 「しーくん!!」 僕を発見し、嬉しそうに走り寄って来る幼子の声に僕は全力で、普段通りの僕を演じる事にした。子ども…

僕等の街で。

「今日は、付き合ってくれて有り難う。拒食症が、完全に治ったかもって自覚した位から、最低でも月1で、甘い物を爆食しないと生きてけない体になっちゃってさ。でも、そうすると普通に太るから、調節が必要なんだけど。」 カレーを食べた後片付けは、赤井さ…

僕等の街で。

諭吉をほったらかしで、南野さんと立ち話をしていたので、諭吉にその事を詫び僕は、部屋のドアに手を掛けた。僕の部屋に上がり込んでいるのは、大家の赤井さんだけのはずだった。 しかし、僕と諭吉を出迎えたのは、見知らぬ旧日本陸軍の将校クラスの軍服を着…

僕等の街で。

僕が、諭吉を連れて帰宅すると、疲れ切った顔をした南野さんに会った。 「小狼君!!後で、laneしようかなって思ってたんだけど丁度良かったよ。黒の騎士団について、知ってるかなって。」 僕は、知らないし初めて、聞く団体名なので首を傾げた。僕を諭吉か…

僕等の街で。

アフタヌーンティーセットを食べ切れなかった僕は、幸子さんとの交渉の末に持ち帰る事になった。なので、冷蔵庫にそれをしまう必要性から諭吉を僕のアパートの部屋へ誘った。 「良いの?」 「うん。同居人達が、カレーを作ってると思うから聞いてみてからだ…

僕等の街で。

「頑張り過ぎるのって、良くないって分かってるけど、頑張り過ぎちゃうんだよな。」 僕は、イタリアンプリンを食べながら言った。 「急にどうした?!」 桜が丘小学校時代の僕を知っている諭吉に僕は、持病の事を正直に白状した。 「持病の事を話すのって、…

僕等の街で。

朝日平駅前のロータリーで、僕は諭吉と、待ち合わせていた。 「15分前に着いちゃって、早かったかなって思ったのに小狼、いるし。」 「ちょいと前だよ、来たの。ついでにさっき、YOU&Iに電話したんだけど今日は、臨時休業だって。」 僕の言葉に諭吉は、残…

僕等の街で。

「小狼君と、葵君の関係って、羨ましいな。心が、通じ合ってる感じで。兄弟みたいにみえる時も、あるし。」 南野さんが、笑う。 「兄弟…。」 為吉君が、呟く。 「大丈夫!!きっと、何時かはお兄さん達に会えるって!!あ、あの話しよ。紀元二千六百年特別観…

僕等の街で。

2週間振りにアパートに戻ると、僕の部屋の電気が付き、窓が開いていた。 「小狼、お帰りなさい。あのね、葵君が喘息の発作が、出て祝さんに窓を開けて掃除してもらったの。ついでにご飯を作るって、祝さんがお台所にいるわ。」 窓際の本棚の上にいたみつが…

僕等の街で。

事務所の第3レッスン室。これから、SOULのメンバーに突撃されるなんて夢にも、思ってなさそうな6人がダンスの基礎レッスンをしていた。 そこへSOULメンバー+社長が、予告なく勢いに任せて突撃した訳で間違いなく、恐怖を与えてしまったと思う。 「これ、…

僕等の街で。

GO GO亭のたこ焼きと、大阪の恋人を土産に僕は東京に戻って来た。アパートには、帰らずに召集の掛かっていた事務所の第1レッスン室に向かった。(laneで、召集令状なる文言が、届いていた。) そこでは、青葉が感謝祭に向けてこの時、まだ未発表の最新曲の…

僕等の街で。

千秋楽終わりの楽屋に大量のお握りを持って、ダニエルと杏奈さんが、現れた。 「仲直りしたの?」と、言う僕に杏奈さんが、頬笑む。 「ダニエル、杏奈さんみたいな人ってそうそういないんだからね。」 僕は、冷ややかな視線をダニエルに向ける。 「あれな、…

僕等の街で。

バスミュの千秋楽当日の早朝4時過ぎ。突然の蕁麻疹発症で、僕は劇場近くの総合病院の救急外来を受診する事になった。 この日迄、アレルギーとは無縁だったので、原因は思い当たらないし、抗ヒスタミン薬を注射か点滴をしてもらわなければ引かなそうな状態だ…

僕等の街で。

僕は、飲み込んだ言葉の代わりを探した。 「病院には、色々な人が来るからなー。幽霊、含めて。」 代わりに絞り出した言葉は、陳腐な言葉になってしまったが無難な答えだと、思う。 陵介のラジオの内容は、オープニングトークから爆弾発言をしていた。“こん…

僕等の街で。

土曜日。バスミュの2公演を終え、僕はノートパソコンを開いた。 ラジオ渋沢のホームページから、青葉のラジオ番組を聴く為で入院中の青葉の代役として、陵介が番組に出演していたからだ。 「ねぇ、パソコンでラジオ聴いて、良い?」 4人部屋である僕の部屋…

僕等の街で。

微(ほろ)酔いの華梛ちゃんをホテルの部屋へ送り届け(偶然にも、僕と同じ大阪華月劇場の入る複合施設のホテルだった。)、僕は改めて、華梛ちゃんに会えた喜びを伝えた。 「祝(しゅう)が、言ったのよ。“大阪の劇場で、お芝居しているはずだから小狼に会…

僕等の街で。

華梛ちゃんとは、初対面なはずなのに僕の警戒心は全くなく、29年の空白を埋める様に様々な事を語った。 「これから先、何があっても、私が小狼を守るからね。雪隠れの里が、消滅したとしても。」 完全に酔っ払った華梛ちゃんが、僕に諭す様に言う。 「ある…

僕等の街で。

「華梛さんは、小狼がどう見えてるの?」 ダニエルの浮気話を広げるのは、不毛と判断した翼により、話が変わる。僕の図上には、質問の意味が分からずに“?”が、いくつも浮かんでいた。 「小狼って、ガード硬いっていうか…。本心が、分からないっていうか…。…

僕等の街で。

「小狼君が、来てくれるなんて夢、叶ったわ。息子に連れて来て言うても、連れて来てくれへんし。」 マスターこと、細身のイケメン外国人ことダニエル・マッキャンは、息子のエディーではなく僕の熱烈なファンだったりする。(昔は、ステージパパだったはずな…

僕等の街で。

南野さんの言うお洒落なバーの名刺サイズの案内に書かれた“M's Bar”という店名に覚えが、あった。エディーの両親の店も、そんな名前だった。 「いらっしゃ…。小狼、久し振りっ!!」 「翼(よく)、大阪で商売を始めたの?」 大阪で、翼…宮田翼に会うなんて…

僕等の街で。

大阪公演の初日、多少のハプニングはあったけれど、満員御礼の最高の舞台だった。 「さっき、小狼に渡して欲しいって、べっぴんさんからメモを預かったんやけど。」 劇場スタッフから、受け取ったメモには走り書きで、“劇場1階のスターボックスで待ってます…

僕等の街で。

長時間、葵を僕の体に憑依させていたからか異常な程の倦怠感と、眠気に襲われていた。(長時間、幽霊に体を貸した割には、僕の心身の負担は軽かった気が、していた。) 大阪華月劇場。そこは、高松塚歌劇団や、劇団蒼風(あおかぜ)等の劇団の定期公演(劇団…

僕等の街で。

「運動会、今年も超、楽しかったー。赤組、勝ったしー。地区対抗リレー、勝ったしー。小狼君が、いたしー。」 海斗は、葵に嬉しそうに言う。 「楽しかったけど、白組は1点差で、負けちゃったのが残念。」 陸斗は、白組だったので悔しそうだった。 「青組も…

僕等の街で。

渋沢区内の公立小学校の運動会の地区対抗競技は、いくつかある。各競技の1位は、区民運動会に学校代表で出場出来るのだが、地区対抗リレーはその中でも、1番の盛り上がりをみせていた。 「1位、おめでとう!!」 地区対抗リレーで、桜が丘地区が1位にな…

僕等の街で。

「曜介君、足早いんだねー。」 4年生の借り物競争。曜介君は、最初のグループで白組の大きな応援団旗を持っての1位ゴール。 「借り物競争って、運だろ。ネットを素早く、くぐってお題を拾って。物(ぶつ)を早く見付けた方が、有利。」 朔さんが、葵の言葉…

僕等の街で。

「直人、通ってたんだよね。懐かしい?」 葵の問いを僕は、否定した。 浅原園に在園していた頃、僕は桜が丘小学校に通っていた。 その頃は、何もかもが嫌だった。だから、だろうか。懐かしいと、いう感情は全くなかった。 「何の思い入れも、ないな。」 「小…

僕等の街で。

運動会の昼休み。それは、わくわくするお弁当タイム。 「小狼のサンドイッチ、もらって良い?」 桜が丘地区の場合、お弁当タイムは地区の皆で、集まって食べるのでお弁当のシェアは、普通の事だったりする。(浅原園が、あるから自然と、そうなったらしい。…

僕等の街で。

陸斗と、海斗の運動会の当日。僕は、ラジオ渋沢の放送局から2人の通う小学校へと、向かっていた。 僕が、双子の運動会に行くのは2年振りで、小学校へ入学してからは初めてだ。 「僕、直人の振りをし続ける自信ない。」 運動会に向かっていたのは、正確には…

僕等の街で。

僕の溜め息は、青葉が巻き込まれた事件の詳細を事務所の会議室で知ると、更に深くなった。 どうやら、久し振りにプライベートな用事で妹の緋色若葉ちゃんに会っていた時に若葉ちゃんの熱狂的な男性ファンに駅のホームから、突き落とされたらしい。(周囲の人…

僕等の街で。

10月。バスミュの稽古は、終了し13日連続(土日祝日は、3公演。)の東京公演、最終日。 「サンドイッチ、もーらいっ☆」 葵が、毎日作って持たせてくれる小さめのキャンディ型のサンドイッチ。 僕以外の誰か(キャストだけでも、38人程いる。)が、食…