希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

「曜介君、足早いんだねー。」
4年生の借り物競争。曜介君は、最初のグループで白組の大きな応援団旗を持っての1位ゴール。
「借り物競争って、運だろ。ネットを素早く、くぐってお題を拾って。物(ぶつ)を早く見付けた方が、有利。」
朔さんが、葵の言葉を否定する。それに反論する間もなく、海斗がお題に向かって、走り出す。
「海、“桜が丘地区の黄色い服の男の人”ってお題を引いてる!!」
桜が丘地区のテントは、お題とは反対方向だし、ゴールから遠い。お題の書かれた段ボールのプレートを誰よりも、早く確認した葵が叫んだ。
お題が、不利な物だったけれど葵と、希望の連携でどうやら、海斗は最下位を免れた様だった。
悔しげにしている海斗へのフォローは、後でするとして、僕と葵は、陸斗と李君を捜した。
「陸と、李君は同じ最終グループかぁ。頑張れー!!」
「あー、李君がコケた!?」
「陸、お題引いてから固まってない?難しいの引いたか?!」
陸斗は、お題を掴んだまま呆然と、立ち尽くしていた。他の子は、最後にお題を手にした子を含め探しに向かっているのにだ。
「あ、こっち来る!!えと、お題…。“お父さん”って、え?!何で、そんなお題が、入ってるの?!」
葵の言葉で、桜が丘地区のテントはざわついた。
「あの!!小狼君と、走りたい!!」
葵にお題を見せながら、陸斗が言う。
「走って、やれよ。“お父さん”の代走って、事で。」
誰かの言葉で、葵は決心したらしい。ルール通りに陸斗と、手を繋ぎ軽やかに走り出した。


小狼、相変わらず足早いわねぇ。あれで、何割?」
浅原園の肝っ玉母さん事、副園長の小百合さんは葵が、手を抜いた事を見抜いていたらしい。
「3割位しか、力を出してない…かな?主役の子ども達以上に目立つのも、あれでしょ?」
葵の言葉は、何だか格好良いし、13年のブランクを感じさせない葵の走りに僕は、感心していた。



〜続く〜