希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

10月。バスミュの稽古は、終了し13日連続(土日祝日は、3公演。)の東京公演、最終日。
「サンドイッチ、もーらいっ☆」
葵が、毎日作って持たせてくれる小さめのキャンディ型のサンドイッチ。 僕以外の誰か(キャストだけでも、38人程いる。)が、食べる事を見越して3段重ねの重箱にぎっしり詰め込まれた物だ。(しかも、手紙付き。)
「女子力高いよなー。こんなん、毎日…。」
「これ作ってるのが、女子なら最高の誉め言葉だと思うんだけど、残念ながら男なんだな。」
趣味も、性格も女子っぽい葵の作るサンドイッチと手紙を見れば、勘違いする人がいて、当然だと思う。
小狼の恋人って、男…?!」
「違っ!!これ、同居人が作ってくれてるの。」
「噂の幽霊君でしょ?青っち…一瀬青葉に聞いた。」
トッキーと、青葉が繋がっていたなんて、初耳だったから僕は、驚いた。
「事務所の先輩の村っちが、酔っ払った勢いで召喚した事が、あってさ。青っち、面白いなって。」
「召喚して、来る前に寝たでしょ?村っちって、そういうヤツだから。」
「それも、含めて面白くて、愛(いと)おしい先輩で友達。」
愛おしいは、聞かなかった事にして僕は、ブログとして公開される予定のメールを打つのを中断して、サンドイッチに手を伸ばした。
「そだ、写メ撮ろうよ!!皆のブログ、アップ用に。ブログに載るの禁止な人、いない訳だし。」
自然な流れで、そんな話になり撮った写真は、しっかりと幽霊が、写り込んでいた。
「青葉の守護霊が、離れるなんて…。」
僕は、言葉を言い終わる前に思い出していた。青葉が、意識不明になったあの日もそうだった。


青葉の守護霊の話を聴いた僕の口からは、溜め息しか出なかった。青葉が入院したらしいからだ。
直ぐにしなくてはならない事は、何かを僕は分かっていた。青葉の父親への確認電話が、最初。
守護霊の話が、嘘っぱちではないと確認したら、葵と為吉君への伝言を黒龍に託す。グループlaneをメンバーとマネージャー宛に送信し、いまだにガラケーな社長には、電話を入れ事務所に今夜中に集まる約束を取り付ける。
「青っちが、入院?!」
「また、事件に巻き込まれたっぽいんだよね。あ、これまだ誰にも、言わないで。」
僕は、そう言うと深い溜め息を吐いた。



〜続く〜