希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

「直人、通ってたんだよね。懐かしい?」
葵の問いを僕は、否定した。 浅原園に在園していた頃、僕は桜が丘小学校に通っていた。
その頃は、何もかもが嫌だった。だから、だろうか。懐かしいと、いう感情は全くなかった。
「何の思い入れも、ないな。」
小狼には、感謝してるんだ。」
僕と、葵の会話に割り込む様に希望が言う。
「小学校5年生の時の宿泊学習、行きたくなかった。裸を晒(さら)したら、絶対に苛(いじ)められるって。同級生だけじゃなく、他のクラスの子や6年生にも。」
「目立つもんね。特にお腹の火傷の所とか、背中の痣(あざ)とか。」
宿泊学習の参加は、強制的な物ではなかった。参加許可書なるプリントが、毎年必ず5・6年生に配られていたからだ。(全員参加の空気が、流れる中での不参加欄に丸なんて勇気が、要りそうだけれど。)
「それで、桜が丘学園初等部の敷地に忍び込んで守衛さんに捕まってた訳だ。」
この事は、葵が知らないので、僕がフォロー。
「忍び込んだんじゃないよ!!小狼の宿題のプリントが、俺の宿題に紛れ込んでたから届けようと、思って。敷地が、広くて迷ってただけ。宿泊学習に行きたくないって話は、ついで!!」
浅原園を卒園し、小学校を転校しても同室だった希望とは、算数と国語を教えるという名目で、交流を続けていた。
「その割には、深刻そうな顔してた。」
「深刻にも、なるよ。人生が、掛かってるって思ってたから。その時に言われた言葉で、俺は救われたし、今に繋がってる。」
僕は、希望が左腕を擦(さす)っているのを見逃さなかった。葵も、気付いたらしい。
「腕、痛む?」
「時々ね。前の住人が、ベロンベロンに酔っ払ってしょっちゅう帰って来るから、アパートを引っ越そうかなって思ってる所なんだけど…。なかなか、理想の物件が見つからなくてさ。」
「桜が丘ハイツ、なんてどう?空室だらけだから、即入居可能だと思うよ。小学生位の地縛霊の男の子が、いるけど。」
葵が、勧めたのは僕の住むアパート。
「良く、そんなアパートに住めるよな。」
「そう?ちなみにその子、僕と同居してるんだけど、純粋無垢な良い子だよ。その子のお陰で、通常の家賃が8万5千円の所、1万5千円。」
葵の言葉に希望は、「家賃を値下げするって、言われたとしてもそんな部屋に俺は、絶対に住みたくないし契約しないな。」と、言った。



〜続く〜