希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

南野さんの言うお洒落なバーの名刺サイズの案内に書かれた“M's Bar”という店名に覚えが、あった。エディーの両親の店も、そんな名前だった。
「いらっしゃ…。小狼、久し振りっ!!」
「翼(よく)、大阪で商売を始めたの?」
大阪で、翼…宮田翼に会うなんて僕は、考えていなかった。
「マスター夫妻が、急遽上京中だから代りを頼まれちゃって。俺、ここの常連で。勝手にお店で、カクテル作ったりおつまみ用意しても、何も言われない所かカクテルの作り方を教えてもらってたから。それは、置いといて。彼女持ちで、美女同伴ってさぁ…。」
「浮気を疑ってるなら、違うから。彼女は、僕の種違いの姉の華梛ちゃんで。まだ、公表してないから言わないでよね。で、M'sバーのマスター代理の宮田翼。えっと、9歳からの友人で…。今の本業、何?」
「親父の会社のイベント関連の部署で、社長になる修行中。親父の会社は、創業家の人間が必ず社長になれる訳じゃないから100%社長になれるとは、限らないんだけど。」
そんな会話をしつつも、チーズの盛り合わせを手際良く用意してくれる翼に僕は感心していた。
「今日は、貸し切り予約営業だから誰も、来ないし。特別に色々と、サービスしちゃう。」
小狼の周りには、素敵な方が沢山いるのね。ちょっと、羨ましい。私は、何をするのも自由では、ないから。」
そして、華梛ちゃんは僕に頬笑む。
「こういうお洒落なお店で、お酒を呑むのって初めて。お酒にも、詳しくないし…。」
「華梛さんは、お酒って強い?」
「どうかしら?人並みには、呑めるはずなんだけど。」
小狼とは、大違いだな。コイツ、成人式の後の同窓会で呑んだ日に乾杯のビール1口で、酔っ払ってさ。そんでもって、記憶がぶっ飛んだらしいから。」
恥ずかしながら、1口でべろんべろんに酔っ払ったのは本当の話だ。そして、記憶がぶっ飛んだのは僕の別人格だった小野寺雄輔君が、危険と判断して、表へ出て来たからだった。
小狼の事、もっと知りたいわ。」
「そう?じゃあ、何から話そうかな?超難しいって、噂だった特別転入試験を満点合格したって話は?」
翼は、僕に話して良いかを確認しながら、思い出を語った。黒歴史として、葬り去りたい過去の1つや2つは、誰だってある事を多分理解しての事だ。
かれこれ、1時間が過ぎた頃、マスターの男性が現れた。陽気な大阪弁を巧みに話す細身のイケメン外国人…エディーのお父さんだった。



〜続く〜