希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

渋沢区内の公立小学校の運動会の地区対抗競技は、いくつかある。各競技の1位は、区民運動会に学校代表で出場出来るのだが、地区対抗リレーはその中でも、1番の盛り上がりをみせていた。


「1位、おめでとう!!」
地区対抗リレーで、桜が丘地区が1位になったのは、6年振りの事らしいので桜が丘地区のテントは、温かな拍手と言葉に包まれていた。(陸上経験者を集めて、勝つのはフェアじゃない気もするが。)
「区民運動会、優勝の報告待ってます。骨折、治すの頑張って下さいね。」
葵が、修二さんに声を掛ける。その声は、少し緊張していた。
「有り難う。まさか、転んで骨折するとは…。人生、何があるか分かんないね。」
「本当にねぇ。葵が、こんなに可愛いお嫁さんをゲットするとか予想外☆」
幸子さんが、双子の母親の未来ちゃんを抱き寄せながら言った。
「“可愛いお嫁さんを葵が、見付けたのが予想外”だって。人生、本当に何があるか分かんないね。」
葵が、戸惑う未來ちゃんに手話を交えて完璧に伝える。
「人生、何があるか分かんないけど。葵を好きになってから、どんな事でも受け止められる様になった気がするの。」
「母は、無敵だね。」
「そうかも。だけど、正解がある様で、ない子育てに迷う事もあるし、悩む事もあるし…。毎日、思うの。葵だったら、どうするのかなとか。こんな時には、何て言うのかなとか。私が、聴覚障碍者っていうのも、あるから余計、不安になるのかも。」
未來ちゃんの子育てに対する本音を聴いてしまった葵は、何と応えるのだろう。僕は、やきもきしながら未來ちゃんを見詰めていた。
「不安な時、迷っている時悩んでいる時、何時も傍にいられたらって…。そんなの無理だから、話を聴くから。全力出し過ぎると、後で大変な事になるしね。」
「常に全力疾走してる小狼には、言われたくないわよねー。」
幸子さんが、葵と未來ちゃんの話に割り込む。
「セーブしてるつもりなんだけど、全力疾走してる様に見える?」
「見える!!」
未來ちゃんと、幸子さんの言葉が重なり、2人は笑い合った。



〜続く〜