希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

朝日平駅前のロータリーで、僕は諭吉と、待ち合わせていた。

「15分前に着いちゃって、早かったかなって思ったのに小狼、いるし。」

「ちょいと前だよ、来たの。ついでにさっき、YOU&Iに電話したんだけど今日は、臨時休業だって。」

僕の言葉に諭吉は、残念そうに呟いた。

「今日の為に1週間、スイーツと、主食断ちしてたのに…。」

「あ、でも!!cafe cloverは、定休日じゃないし!!今、アリスのティーパーティ期間だし!!」

ガッカリしている諭吉に僕は、言う。

「アリスって、ふしぎの国のアリス?」

「そ。今月末、ハロウィンだから。毎年、ハロウィンの時期はアリスのティーパーティ期間でさ。アニメのネズミー映画を基にしてるから、トゥイードルダムとトゥイードルディーもいるんだ。超そっくりなリアル双子だから、引くかもだけど。」

cafe cloverは、変わらずの大人気店で何時も通りに行列が出来ていた。それを捌いていたのは、トゥイードルダム&トゥイードルディーの衣装を着た双子=東宮旬君と、純君。

小狼、お帰りー。僕達、可愛くない?」

僕と、諭吉を案内しながら旬君が、言う。

「毎年、それだし見慣れてるから、ノーコメントで。」

「冷た…。あ、そだ。今、ニューススタジアムの特集の取材でTVTの人が、来てて。だから、愛理さんと、優斗さんがヘルプに来てくれてて。YOU&I、今日は閑古鳥らし…。」

諭吉から漂う不穏な空気を感じて、席に着くと僕は、慌てて話題を替えた。

「旬君のオススメメニューは?」

「どれも、美味しいからオススメだけど。強いて、選ぶならスイーツ系は、期間限定の超特盛パフェシリーズかな。ご飯系なら、ナポリタンとクラシカルオムライスだな。」

不穏な空気には、全く気付いてない旬君が頬笑む。

「有り難う。」

そんな旬君に僕は、お礼を言った。

「アリスのティーパーティにようこそ♪超特盛プリンパフェと、ロイヤルミルクティーアフタヌーンティーセットです。」

「優斗さん、アフタヌーンティーセットなんて頼んでないよ?」

僕はマッドハッターの格好をした優斗さんに僕は、言う。

「陸と、海(かい)の家庭教師代の代わりだって、修二さんが言ってた。余計なお世話かもだけど、家庭教師の月謝位はちょっとでも、貰ったら?本業、儲からないって言ってたじゃん。」

優斗さんの言葉は、目から鱗だった。

「家庭教師って、思ってなかったから。僕は、陸と海のお父さんの代行って思ってて。」

「これも、お節介か。9年前のあの日の事は、詳細を知ってる訳じゃないけど良い加減、自分を責めるの止めなよ。」

優斗さんのお節介な助言を僕は、お節介とは感じなかった。

「過去の自分を責めたって、未来が変わらないのは、分かってるんだけどね。」

優斗さんは、僕の答えに頷いた。

「それから、僕の店を臨時休業にしてごめんよ。」

「僕は、気にしてないけど諭吉には、相当なダメージだったみたい。YOU&Iの特盛パフェを食べる気満々で、1週間スイーツ断ちしてたっぽいから。」

「ごめんね。営業時間と、休業日を不定にしてから閑古鳥な日ばかりでさ。葵の入院代やら何やらを稼がなきゃなんないから、超暇な日はここにいるんだ。」

優斗さんの言う葵は、優斗さんの今年生まれた息子だ。葵の様に肌の色や、宗教や思想なんかが違う人とも、仲良くなれる人になって欲しいという理由で、名付けたらしい。

「入院?」

「あ、小狼にまだ言ってなかったね。蜂蜜を食べたらしくてさ。僕のばあちゃんが、咳出るからってあげちゃったらしくて。」

知らない人も、いるから書くけれど、1歳未満の子には蜂蜜を与えると、乳児ボツリヌス症になるリスクがある。蜂蜜のラベルを良く読めば、1歳未満に与えてはいけないと書いてあるのだが。

「それと、ここだけの話。ここの超特盛プリンパフェって、ウチの特盛プリンパフェと一緒なんだよね。プリンの固さとか、生クリームの甘さとか細かい部分は、違うけど。」

特盛プリンパフェを頬張る諭吉に優斗さんが、囁いて去って行った。

「本命じゃないけど、これはこれで美味しい♪で、小狼にすごいのサービスしてくれたよな。確か、6500円って書いてあった様な…。」

「多分、これメニューに載ってないヤツかも。僕が、好きって言ったヤツばかりだし。」

諭吉にそう言ってから、僕は気付く。“頑張り過ぎるな”と、いう修二さんのメッセージだと。

~続く~