希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

GO GO亭のたこ焼きと、大阪の恋人を土産に僕は東京に戻って来た。アパートには、帰らずに召集の掛かっていた事務所の第1レッスン室に向かった。(laneで、召集令状なる文言が、届いていた。)

そこでは、青葉が感謝祭に向けてこの時、まだ未発表の最新曲の自主練をしていて大雅が、それに付き合っていた。僕は、邪魔をしない様になるべく音を立てずに中に入った。

「やっぱり、青葉の振りとか歌詞が、所々間違ってんだよなぁ。前より、ずっと減ったけど。それと、忘れたり間違えた時に間抜けな顔するの止めたら、完璧。」

「間抜けな顔、してた?!」

「してた。そういう時は、無駄に良い感じの顔してれば何とかなるって、俺は思ってんだけど小狼は、どう思う?」

急に振られて、僕は驚きつつ、「普通に堂々と、してれば良いんじゃない?間抜けな顔してると、アホに見えるから。」と答えた。

「意識的に直さなきゃだな…。」

溜め息を吐く青葉。

「前より、覚えんの早くなってる。今回、まだ完璧には遠いけど、2曲を3日で覚えたじゃん。しかも、小狼の力借りないで。」

大雅の言葉を聞き、僕は嬉しくなった。

「振り付けの先生には、動画を送ってもらったりして今回も、迷惑を掛けたけどな。」

「それでも、すごいよ!!」

青葉が、指1本を動かすのも、苦労していた頃を知っている僕は、感動していた。

「青葉は、いるだろうからって集合時間の40分前に来てみたけど、皆、いるし。俺が、遅刻したみたいじゃんか。」

陵介を除く、SOULメンバーが予定の1時間程前には、集まっていた。

「冷めちゃったけど、約束のGO GO亭のたこ焼き。それと、大阪の恋人も。これ、食べて機嫌直してよ。」

前日に召集のlaneを受け取り、手土産のリクエストを聞いていた。

「俺、志望校変えたんだ。大宝芸大の芸術科舞台芸術専攻に。今日、その件で担任と、個別面談して来た。」

たこ焼きを頬張りながら、陵介が僕に言う。

「進路変更、俺と豪太と橋純のアドバイスの賜物だな。」

大雅が、胸を張る。ちなみに橋純=元SOULのメンバーで、5年前に芸能界を引退した橋本純。

「大雅と、豪太と橋純にガチの進路相談して良かったかも。歳が近い方が、参考になるなって。進路指導の先生、就職に重きを置いてるみたいで全力で、相談に乗るとか言ってても、何か…ね。演劇関係の方に進学したいって言ったヤツ、少なくとも過去20年は、いないって狼狽(うろた)えちゃってさ。」

「願書が、間に合って良かったです。相談を受けたのは、願書の締め切り間近でしたから。」

「感謝しろよ、俺と芸術科舞台芸術専攻OBの大雅とで、一緒に大学の入試担当の所に行ってやったんだからさ。」

気が付けば、40個あったたこ焼きは最後の1つ。

小狼は、たこ焼き食べないの?食べちゃうよ?」

僕は、たこ焼きを広げたものの1つも食べていなかった。

「別にあるから。青葉、食べちゃっても良いよ。」

「あー、ズルい!!そこは、年下に譲るだろ?」

「譲らないね。だって、陵介が1番、食べてんじゃん。」

「2人共、食べたいんだったら恨みっこなしで、じゃんけんして下さい。」

じゃんけんの時は、豪太が仕切る事が、多い。そうして、最後のたこ焼きは青葉の胃袋に消えていった。

「集まってくれて、有り難う!!約束の時間に遅れて、ごめんね!!」

SOULのメンバーに召集を掛けた張本人であり、事務所の社長である天草信也社長がやって来たのは、約束の15分後。

「いやぁ、エディーの主治医と本人を交えて、話し合いしてたんで遅くなっちゃった。ごめんよ。」

「僕達が召集された理由、教えてくれませんか?」

豪太が、代表して社長に聞いた。

召集令状って、戦時中の赤紙じゃないんだから用件を教えてよね。まあ、それで全員集まるんだからすごいけど。」

そして、陵介が代表して文句を言った。社長から、“召集令状”なるlaneが届いた時は、何かしらのサプライズ発表がある時だ。(スマホが、普及する前はケータイのメールで、それが届いた。)

「SOULの妹分のメンバー決まったよん♪今ね、第3レッスン室でダンスレッスンをしてて…。」

「もしかして、そこに突撃しろって事?!」

小狼、察しが良いね。その通りだよ。その後、もういくつかお知らせしようと、思ってるんだけどまだ内緒☆」

「内緒って…。良いお知らせですよね?」

豪太が、確認するも社長は、教えてはくれなかった。

~続く~