希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

長時間、葵を僕の体に憑依させていたからか異常な程の倦怠感と、眠気に襲われていた。(長時間、幽霊に体を貸した割には、僕の心身の負担は軽かった気が、していた。)


大阪華月劇場。そこは、高松塚歌劇団や、劇団蒼風(あおかぜ)等の劇団の定期公演(劇団蒼風と、高松塚歌劇団は実験的な研究生公演が、ほとんどらしい。)だけでなく歌手のライブや、各種講演会も行われる場所だった。
「いつか、ここでSOULのライブ出来たら、良いな☆でも、その前にバスミュを頑張る。」
開演2時間前。まだ、観客が誰もいない劇場の舞台から、観客席を見渡す。
沢山の笑顔と、拍手とを想像しただけで僕はワクワクしていた。
小狼、発見!!小狼も、ここの劇場は初めてな感じ?」
静寂を破る様にトッキーが、僕に近寄って来る。
「トッキーも、そうなの?」
「実は、大阪に足を踏み入れる事自体が初めてで。京都には、西映の撮影所で時代劇の仕事が多いのと、転勤族だったのとで小3から、3年位は住んでたんだけど。滋賀県寄りだったから、そっちは良く行ってた。」
京都市って、広いよね。中学の修学旅行で、行ったけどあそこだけで、京都府全域に行く気になってたもん。」
僕は、修学旅行の前にガイドブックを見て、驚いた1人だった。(何時も、連(つる)んでいたメンバー全員がそうだった。)
「あ、そうだった。小狼に言おうと、思ってた事があったんだ。」
「何?」
「青っちからメールが届いてた。“約束、すっぽかしてごめん。”って。先週、事件のあった日にご飯に誘ってたのね。青っち、忘れてなかったんだなって感動しちゃった。ダブルブッキングとか、忘れるとかしょっちゅうしでかしてたのにさ。」
「しょっちゅう約束とか、大事な事を忘れるからアドバイスした甲斐が、あったか。」
僕の言葉に納得するトッキー。
「それから、もうリハビリ始めてるって。スゲーよな、オレだったら間違いなく、気持ちが砕け散ってるつーのに。」
「青葉=ポジティブの塊だから。僕とは、正反対。」
僕は、そう答えたけれど青葉の気持ちが、拾い集めて組み立てるのも難しい程、粉々に砕け散った日を僕は知っている。難解なパズルのピースの様なそれを丁寧に拾い集め、組み立てている最中だった事も…。



〜続く〜