希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

為吉君が、帰って来ないまま流石の僕も、心配し始めた頃僕の通信装置が、鼓動した。
「今日、為吉君帰って来ないっぽい。」
「何で?!」
「今、岡山にいるみたいでさ。」
「岡山?!桃太郎で、有名なあの…。」
通信装置に応答した僕と、葵の反応は全く同じだった。
「土地勘ないから、彷徨(さまよ)ってた所を岡山の天使に見付かったみたいで。岡山で、無事に保護されてるって。それで、今夜はそこに泊まるって。」
「為吉君にタグを付けといて、良かったね。」
葵が、右手首のタグを僕に見せた。葵のこれは、僕が付けた物では、ないけれど保護されている幽霊の証しとして、大事な物だ。
「そうだね。」
「ケーキと、たこ焼きどうしよっか?」
「うーん、明日にしようか。為吉君、楽しみにしてたし。」
実を言うと、僕も為吉君の誕生日パーティーを楽しみにしていた。葵も、幸子さんと修二さんに似て、お祝い事好きなので僕の言葉に頷いた。
「あ、みっちゃんに中止って伝えなきゃ。今、隣にいるから。」


みつは、見覚えのある洋服(と、言っても僕が作った訳ではない)を着ていた。
「あのね、祝(しゅう)さんが小狼の持ってるお洋服を作ってくれたの。私が、小狼が持っている可愛いお洋服、着たいって言ったから。」
「それで、“君がいる”の1話の衣装を再現してくれたんだ。細かい部分も、再現してくれてるし。イケメンで、イクメンで家事全般完璧にこなして…凄い人だな。」
君がいるは、9年前テレビ東都の深夜ドラマ枠で放送されていたドラマ。僕が、ロリータ大好きな女子大生(性同一性障害って
、設定があったから。)を演じてネットで、話題になり深夜枠としては、全話通して高視聴率だったらしい。
この作品、僕の身に付けていた衣装やら小物やらは、ほとんど詩織の私物だった。(中には、詩織の手作りもあったり。)
「言ってくれたら、僕と直人とで、作ったのに。」
「何で、僕を巻き込むかな…。そういうのは、葵だけでやってよね。」
「作るのは、僕で材料を買ってくれるスポンサーは、直人だから僕と、直人で作るで正解だと、思うけど?」
葵の言葉を僕は、右から左へ適当に受け流した。


〜続く〜