希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

「あ、これ予算降りないかも…。直人、みみっちいから。」
葵の言葉に僕は、黙ってはいられなかった。
「倹約家って、言って欲しいんだけど。」
「倹約家ねぇ…。ドケチなだけでしょ。」
「野菜も、卵も小麦粉も、何もかもが値上がりしてるから、出来る限りの節約を…。」
僕は、葵の表情の一瞬の変化を見逃さなかった。それは、葵に気付かれた様だ。
「体の痛みには、慣れてるんだけどたまにすごく痛い時があって。あ、もう大丈夫…。落ち着いたから、大丈夫だよ。みっちゃん…、泣いてくれてる?」
「私、何も出来ないから、悔しくて…。身代わり人形じゃないから、痛みを引き受けられないもの。」
「みっちゃんは、いてくれるだけで良いよ。それだけで、僕も直人も、為ちゃんも安心出来るから。」
「本当?」
葵の言葉に僕は、頷いた。


為吉君が、帰って来たのは翌日の夜だった。そんな彼を僕は、ネチネチと何時迄も、叱らなかったし懲罰を課す事も、しなかった。
もちろん、暴力的な事も含めてだ。代わりに為吉君を僕は、何時もより多く抱き締めた。
「為吉君は、大切な家族だからね。」と、僕は彼に伝えた。
「みつも、大切な家族だよ。葵は、何だろう…?ただの居候……?」
僕の言葉に葵が、膨れっ面になった。
「嘘、嘘!!葵は、暗闇を照らす一筋の光。」
日向の太陽みたいだと、思った日もあったけれど、それは言わなかった。
「何、それ?」
「僕を暗闇から、明るい日向に導いてくれたじゃん。半ば、強引に。」
「そう、だっけぇ?覚えて、ないなぁ。」
照れ隠しのつもりなのか、葵は腸の見え透いた嘘を吐いた。



〜続く〜