希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

「御守りって…。」
「持ってるだけで、安心するんだ。御守りも、そういう類いじゃないの?」
僕の問いに爽ちゃんは、答えなかった。
「ごめん、疲れちゃったよね?僕、帰…。」
僕の言葉が、終わらないうちに僕の腕を爽ちゃんが掴んだ。
「大丈夫だから、時間あるならもうちょいだけ、いて。」
「疲れちゃった時は、言ってよね。その時は、帰るから。」
僕の言葉に安心したのか、爽ちゃんは掴んだ僕の腕を離してくれた。その後は、何度も引き止められ、結局面会終了時間近く迄、話をしていた。
「今日は、本当に有り難う。暇潰しに付き合ってくれて…。」
「僕も、久々に会えて良かった。連絡先、交換出来たし。」
「今度、ご飯に行こ。一応、言うけど社交辞令じゃ、ないよ。」
僕は、爽ちゃんの言葉に笑顔で頷いた。
「あ、そうだっ!!お土産、持って来たのすっかり、忘れてた!!」
「何だろう…?えっと、今治タオル?有り難う、大事に使うよ。」
悩みに悩んで、選んだタオルに込めた意味を爽ちゃんは知らないかもしれない。それでも、喜んでくれた事が僕は、嬉しかった。


「ただいま☆」
たこ焼きの材料と、甘酒を買いアパートに戻ると、葵がスポンジケーキを焼いていた。
「誕生日には、ケーキだよね。葵が、作っているかなって思って、買わなかったの正解だったな。」
「ごめん!!僕、家事的な事は何もしちゃダメって、言われてたのに…。」
「最近、喘息の発作出てないし来週からの料理当番、お願いしようかな。」
僕の言葉に葵は、笑顔になった。
「ね、為吉君は?」
「人を捜しに行くって、朝に出掛けて…。何処、行ったんだろ?まだ、帰って来ないし。」
「夕飯時だし、そのうち帰って来るでしょ。」
僕は、葵の言葉に楽天的に答えた。葵も、為吉君が帰って来ない事をあまり気にしていない様だった。



〜続く〜