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葵は、僕の頭を撫でるのを止めると、「ごめんね、直人の日記見ちゃった。」と、言った。
「解離性同一性障害、葵の荒療治で治ったんだけど。神経性食欲不振症と、闘って…。」
「僕、直人が1番辛い時に傍にいなかったから、情けな…。」
葵の目から、涙がこぼれた。
「今、傍にいてくれてるじゃんそれで、十分。それと、カレーの並み盛りを完食したの久々だったんだよね。」
「僕、ご飯とかお菓子とかを作るとか、話聞いてあげる位しか出来ないけど…。」
「有り難う、お粥美味しいね。」
僕は、笑顔で葵に言った。
「本当?!お代わり、あるけど食べる?」
「食べる。」
数日前の僕なら、言っていない言葉だった。5年前の僕なら、その言葉を封印していた。
「残しても、良いからね。」
葵の優しさに僕の目は、潤んでいた。
「そだ、葵聞いて!!陸と、海ったら僕の家の冷蔵庫に0点の算数と社会のテストを隠してったの。僕、久々にぶちギレちゃった。」
「直人、ごめん…。陸斗と、海斗がそんな事したから…。」
「後で、雷落としとく。叱ったら、怖いって分からせないと。それと、学習塾に入れるしかだな。」
「小学校で、習う事って一生涯、使うもんね。足し算とか、掛け算とか。割り算、時計の読み方とか…。」
「それも、あるけど中学受験したいって、言ってたから。」
「そうなの?!何処、受けたいって言ってた?」
「葵の後輩になりたいんだって。体力とか、健康状態はクリアしても、おつむに問題ありそう。算数と、社会のテストが0点じゃ、捻りに捻った受験問題を解ける訳…。」
葵は、頭を抱えた。
「でも、渋沢五中って陸上部ないらしいし、桜が丘学園って陸上部、全国常連じゃん。当たって、砕け散っても良いんじゃないの?まだ受験迄、3年半あるんだし。」
「ごめんね、頭冷してくる!!」
葵が、消えると僕のスマホの着信音が、鳴り響いた。(ちなみにSOULの最新シングルの“夏祭り”。)そして、電話の相手は僕の第1マネージャーの桜井さんで内容は、もちろん仕事の事だ。
「ミュージカル、やりたいです!!」
僕の言葉で、次の仕事が決まったのだった。
〜続く〜