希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

バックナンバー&過去作品:merumo.ne.jpをドメイン許可にして、00605453s@merumo.ne.jpに空メールをお願いしますm(__)m
 
 
 
 僕の心は、エディーと久々に言葉を交わした事もあり、晴れやかだった。
 「ただいまー☆」
 アパートに帰ると、かえでちゃんは葵が、寝かし付け酔っ払った鈴花の話を為吉君と、みつとで聞いていた。
 「小狼、あのね。明日、お出掛けしようって。明日って、仕事…。」
 「明日?明日は、午後5時からのダンスレッスンだけだよ。」
 「だったら!!明日、トロピカルフルーツランドに行きたいんだ。」
 僕が、その単語を聞いたのは何年振りだろうか?思い起こせば、義妹の亜由美が桜が丘学園中等部2年の秋以来だった。
 「あ、ごめん。トロピカルフルーツランド、苦手だったよね?」
 トロピカルフルーツランドに限らず、遊園地やテーマパーク(特にお化け屋敷や、妨害の壁として鏡の使われている迷路に特に)には、幽霊が集まるので、ゴタゴタに巻き込まれるのが分かりきっているので、嫌だという気持ちが、表に現れてしまうのだ。それで、遊園地が苦手と、勘違いされるらしいのだが。
 「え、でも行くって、話で盛り上がってたんでしょ?」
 「小狼が、楽しくなきゃ私も、楽しくないし。遊園地デートを地縛霊とか、悪霊とか厄介なのに邪魔されたくないしね。」
 トロピカルフルーツランド行きが、白紙になった所で葵が、話に合流。
 「葵、何処か痛むの?」
 僕は、葵が一瞬見せた辛そうな顔を見逃さなかった。
 「だいじょ…ぶ…。」
 葵が、皆(特に僕)がこれ以上、心配しない様に“大丈夫”と言ったのは明白だった。間違いなく、喘息の発作だ。
 「温かい紅茶を淹(い)れるから待ってて。座って、前屈みの方が楽らしいから、そうしてて。それと、腹式呼吸も。為吉君、玄関の靴箱の下から青い方のバケツを持って来てくれる?」
 温かい紅茶は、薬が手元にない喘息患者に有効だという事は、前に幸子さんに聞いていた。(喘息に関する本を読み漁って、得た知識らしい。)
 
 
 「はぁ、死ぬかと思った…。」
 葵の口から、咄嗟に出たであろう言葉に全員が突っ込みを入れた。
 「別に言ったって、良いじゃん。それ位、苦しかったんだから。」
 落ち着いた葵が、言う。 そして、葵は喘息を生前、再発させていた事を白状した。
 「で、酒井先生は何だって?」
 僕は、葵が喘息を再発させていた事は、幸子さんに聴いたので知っていたけれど、詳しい事は知らなかった。
 「血液検査して、アレルギー体質じゃないって。多分、疲労とストレスじゃないかって言われてて。でも、幽霊になったら発作とか、出ないだろうって、油断してたんだ。実際に発作が、出たの幽霊なってから初めてだったし。」
 そう言うと、葵は溜め息を吐いた。
 「運動量、減らした方が良いかもね。毎日、じゃなくて週3にするとか、毎日なら軽いストレッチ位にするとか。」
 「分かった、迷惑掛けてごめん。」
 葵は、鈴花の言葉を珍しく素直に受け入れた。
 
 
 
〜続く〜