希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

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 昨日、葵が喘息の発作を起こしたので、人の沢山集まりそうな場所を避けcafe  cloverの元従業員、野上優斗さんと愛理さん夫妻の営むカフェに僕達はいた。愛理さんが、妊娠中で営業時間や、休業日が定まっていない為か、僕達の他に客は、いなかった。
 「あのさ、YOU&Iって何時でも、行けるじゃん。何時でも、行けない所行かないの?」
 葵に言われ、僕は葵に無理をさせたくない事を伝えた。
 「今月の当番、組み直しするから。」
 「おいら、料理は葵や、小狼みたいに上手く出来ないし勉強中だけど、掃除は得意だから、任せてよ。」
 為吉君の一言で、葵は笑顔になった。
 「お待たせしました。スイーツセット4つです。」
 「4つなんて、頼んでないよ。」
 「僕からのサービス。葵と、そこの少年に。可愛いお嬢さんは、残念ながら食べられないから、出せないけど。」
 僕は、優斗さんが“見える人”だと、知らなかったので驚いた。
 「僕の実家、堂明寺だからかな。」
 堂明寺は、僕の実家の近くにある由緒正しい寺で曰く付きの物の供養なんかも、している結構有名な寺だ。ちなみに住職(=優斗さんのお父さん)と、僕の養父は桜が丘学園幼稚舎からの幼馴染みらしい。
 「あ、愛理帰って来た!!お帰り。」
 「ただいまっ☆」
 僕の知る限り、愛理さんと、優斗さんだけだ。何年も、付き合い始めたばかりの恋人の様な夫婦関係を築いているのは。
 そして、愛理さんには今、2人の念願の子どもが宿っている。
 「病院、どうだった?」
 「大丈夫だって。それに朝よりも、体調が良いの。」
 「本当?バナナ入りパンケーキ作るけど、食べる?」
 「食べる♪」
 葵が、何時か言っていた言葉を僕は、思い出す。“何時か、2人みたいな笑顔一杯の家庭を築きたいな。”と。
 僕は、葵の言葉をなぞる様に言った。
 「2人なら、大丈夫。きっと、素敵な家族になれるわ。」
 愛理さんが、穏やかな口調で言う。
 
 
 「バナナパンケーキ、お待たせ♪飲み物、ホットチョコレートで大丈夫かな?」
 「大丈夫よ、有り難う。」
 「CD、掛けても良いかな?」
 「だったら、何時ものが良いな。」
 “何時もの”と、愛理さんがリクエストしたCDは、SOULの1番新しいアルバム(デビューからのシングルのみのヤツ)だった。
 「それ、胎教音楽にしてるの?」
 僕は、自分の歌はなるべく、聴かない様にしていたので、新鮮だった。
 「最初は、クラシック系の音楽を聴かせてたんだけど。それが、私のストレスになっちゃって。クラシック、毎日聴いてたし大好きなハズなんだけどね。」
 「それで、色々2人が、共通して好きな曲を試して、SOULの曲になったんだな。」
 デビュー曲から、順に曲が流れる。同時に曲ごとの思い出が、滝の様に記憶から溢れ出した。
 
 
 
〜続く〜