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優美が、図書館で借りて来たレクリエーション関連の本を見ながら、話し合う。
「相手が、元気一杯の子どもたちなら色々出来るんだけどねぇ。」
「場所も、東都医科大附属の院内学級だから広くないし、病院だから生が、付く物を持ち込めないしね。」
東都医科大附属病院の小児科病棟の患者達との交流ボランティアは、今月で12年目になる。僕が、1人(たまに葵や、エディー・マッキャンを巻き込んだけれど。)で始めたそれは気が付けば、多くの人が賛同し、参加してくれていた。
「あ、スライム作りたい!!」
「却下。」
「何で、だよ?!」
「ホウ砂を使うから、でしょ。あれ、毒物だから大量に飲んだり、傷口に塗りたくったりしたらいけないって、中学で習ったし。確か、スライムって対象年齢5歳位から、じゃなかった?」
陵介が、すかさず説明してくれた上に話し合いにも付き合ってくれた。正確には、7歳以上らしい。
「じゃあ、パネルシアターは?」
「パネルシアター?」
僕と、優実はどんな物かを知っていたけれど陵介は、名前を聞いてもピンと、こない様子だった。僕が、スマホで画像を捜して、見せる迄名前を知らなかったらしかった。
「材料なら、ホビーセンターで全部、買える。パネルシアターの作り方、崎本希望君に聞こうよ!!」
「画像も、でたし作り方、普通にネットに載ってるから。」
「分かって、ないなぁ。浅原園に帰る為の大義名分に決まってんじゃん。」
大義名分を付けなくても、僕は定期的に浅原園に帰っているのだが。
「小狼、中国語ペラペラだし良いじゃん。この間、ちょこっと行ったら、ほとんど中国語しか、話せない子を受け入れるって、言ってた。」
「半年も、前の話じゃん。 」
僕と、優実のやり取りを聞いていた陵介が爆弾の様な質問を放り込む。
「2人って、付き合ってんの?ほら、名前で呼び合う仲じゃん?」
僕と、優実は勿論否定する。
「有り得ない質問しないでよ!!」
「オレ、小狼の彼女は優ちゃんかと、思ってた。」
「ちょ、こんな真面目人間と付き合うなんて、1ミクロンも有り得ないから!!」
1ミクロン、つまり極々、僅かな確率もないという事で、手っ取り早く言うならアウトオブ眼中。(これ、死語?)
「小狼、一々気にしてたら、ストレス溜まりまくりで身が、持たないって。」
陵介に諭され、僕は一応、頷く。僕の心は、優実の一言でズタボロだった。
「これ、あげるから許して。」
優実が、くれたのはミルクキャンディ。
「仕方ない、許す。」
僕は、そう言ってキャンディを口にする。“甘い物は、人を幸せにする”と、幸子さんが言っていた事が、正しいと感じた。
〜続く〜