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「葵、ヒロに何を言ったのさ。」
僕は、葵に聞く。葵は、僕と鈴花にも、耳元で言った。
「葵にそんな秘密を握られてるとは、ねぇ。」
ヒロの名誉の為に書かないけれど、人に知られたら恥ずかしい内容だった。
「来てみたものの、葵が隣にいるから、諸々省いて良いかなぁ?」と、葵に聞き了承を得た。結果、手を合わせただけで僕等は、帰る事にした。
「小狼、聞いてる?」
「何を?」
「SOULの妹分を作るって、話。」
たまにマネージャーより先に大雅から、信憑性の薄い情報が伝わるのだが、今回はそれの類いではなかった。リュックから、取り出したオーディション関係の情報の載った月刊誌を青葉が取り出す。
「附箋のページ?本当だ、載ってる。」
「リーダーが、優衣って所が、不安だな。」
僕が、苦笑する。
「青葉も、ものすごく不安だな。」
大雅の一言。そんな言葉には、反応せずに青葉の自主練に目を向けた。
確実に上手くなっている。振り付けの変更になったサビの部分を前の振りで、踊っている以外は完璧だった。
僕は、青葉に声を掛け青葉のノートに書いてある事を確認した。僕のノートとも、照らし合わせる。
「そこ以外、完璧だから大丈夫。」
僕は、青葉の隣でサビの振りを区切りながら、出来るだけ分かりやすく教える。
「せめて、人並みに記憶力があれば、楽なんだろうけど。」
「青葉の記憶力は、良くなってるって♪」
「小狼は、青葉の事どう思ってる?」
スターボックスコーヒーのクリームと、シロップを多めにしてもらったハチミツとミルクにバニラフレーバー入りの甘いラテを飲む僕に陵介が、聞く。
「デビューする前からの友達。多分、これから先親友になるかもしれない存在…かな?」
僕は、少し考えてから応えた。
「オレ、青葉をしょっちゅうお荷物だって、感じて…。その度に自己嫌悪になるんだ。」
「僕、それ本人に言った事あるよ。」
「 そうなの?!」
僕は、13年前に青葉に何が、あったのかを話す。当時、小学生だった陵介は詳細を知らなかった様だ。
「それで、言ったんだ。」
「話し掛けるのが、良いって聞いたんだけどそんなので、起きたら苦労しないだろうって。それで、思い付く限りの悪口を録音して毎日、流してもらった。」
「何か、そっちの方が起きそうだ。」
「でしょ?実際、約半年後に起きてさ。」
散々、悪口を言われて青葉が、怒らない訳がなかった。そんな青葉に僕は、ハッパを掛けるべく挑発的な言葉を浴びせ続けた。
「青葉、奇跡の塊だったんだ。」
「うん、主治医が驚いてる。物凄く、ダンス覚えるの遅かったり大事な事、忘れてたりこれからも、色々あるかもだけど、大目に見てあげて。青葉は、青葉なりに努力してるから。」
僕が、笑う。
「SOUL加入、3年目突入して小狼について、初めて知った事が、あるんだけど。」
「何?」
「十分甘いスタボのラテを更に甘くしなきゃ、飲めないって事。味覚、おかしいって。」
陵介の言葉に僕は、反論しない。
「別に個人の自由、だろ?」
そんな僕の代わりに反論した相手に僕は、少し驚く。
「lane、送ったの気付けっつーの!!」
「優実、用事だった?」
「今月の当番の件。」
用件を言うと、優実は僕の隣に座る。その手には、タンプラーが握られていた。
〜続く〜