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みつは、外に出ると借りて来た猫みたいに大人しかった。そんなみつを抱いた僕を見た人の中には、ギョッとする人も相変わらず、多かった。
“僕の娘になりたてのみつ。”と、紹介したからかみつは、ご機嫌だった。
「小狼、葵が…。」
ここにいるSOULのメンバー、スタッフの中で霊感のあるのは僕と、8年前生死を彷徨った一瀬青葉だけだった。そして、葵の事を知っているのも僕と、青葉だけだ。
青葉に渡された小さめの手提げバッグの中に入っていたのは、2リットルのペットボトルに入った濃い緑色のドリンクだった。急いで、書いたらしい葵の手書きのメモも入っていた。
「葵が、女だったらオレ、絶対に告ってんな。葵、もろオレのタイプだしさ。」
「だから、彼女出来ないんじゃない?」
僕は、ペットボトルを開けドリンクをラッパ飲みした。葵に8年前、プレゼントした健康ミックスジュースと同じ味が、した。
ふいに涙が、僕の頬を伝った。慌てて、涙を拭うと僕は、笑顔を作った。
「小狼、レコーディング終わったら暇?」
青葉が、何も見なかったかの様に話題を変えた。
「手芸用品店に行くつもり、だけど。」
「2時間位、自主練付き合って欲しいんだけど…。」
「良いよ。」
レコーディングは、思っていたよりも早く終わった。事務所のレッスン室を借り、僕は青葉の自主練に付き合った。
「オレ、覚えるの遅くて…。毎回、小狼にオレの振り迄覚えてもらって…。分かりやすい動画にしてくれたりして。迷惑掛けて、ごめん。」
「謝んなくても、良いよ。青葉なりの完璧を目指そうよ。」
みつが、照れる。
「オレと、小狼と3人の時は動いたり、喋っても平気だから。オレ、餓鬼の頃から分かるんだ。」
「じゃ、遠慮なく言わせて。音楽を掛けたら、青葉君だっけ?全部の踊り、少し遅れてた。」
「マジか…。」
「最初よりも、凄く良くなってるよ!!3曲、青葉史上最速で、覚えたんじゃない?」
「小狼にフォローされても、余計ヘコむわ。」
「そう?」
僕の言葉に青葉は、溜め息を吐いた。
〜続く〜