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「そだ。小狼、今日遊びに行っても、良い?みっちゃんと、仲良くなりたいしさ。」
「葵が、何を作っているか分かんないし…。」
「同居してんだって、葵に聞いてるし。電話して、聞いたげるよ。」
「待って!!同居してる為吉君が、出るかもしれないから。」
「葵の他にも、幽霊と同居してんの?」
青葉に為吉君の事を伝えていなかった事を僕は、忘れていた。
「元々、68年間男の子が、そこにいたんだよね。鈴木為吉君って、子なんだけど。」
「その子とも、仲良くなれるかな♪」
僕は、青葉を無視して電話を掛けた。
「大量にカレー、作ってるみたい。何だったら、泊まってく?」
「良いの?!」
「うん、来てよ。」
アパートの近所の手芸用品店。ルンルン気分で、着物の生地を次々みつに当て、迷いながら選ぶ僕に青葉は、呆れた様子だった。
「大抵の女の子はさ、お洒落して可愛くいたいって、思う生き物で…。人形だって、そう。」
そんな青葉に僕は、力説。
「それ、大昔に詩織ちゃんにも聞いたな。」
8年前迄、僕は2人の人間と、同居していた。神崎詩織と、小野寺雄輔。
2人共、解離性同一性障害(俗に言う、多重人格)だった時期に僕が無意識に作り上げた人間なので、今は存在していないのだが。
僕は、迷いに迷った末に着物8着分の布を買い、1着分の布をサービスしてもらった。
「良いんですか?!」
「ずっと前に毛糸を買いに来て、くれたでしょう?あれから、買いに来てくれないから元気かなってね。」
「覚えてて…。」
「真剣そうな顔して、しばらく毛糸を選んでたからね。」
毛糸を真剣に選んでいたのは、詩織だけど僕は、店主に覚えていてもらえたのが嬉しかった。手芸用品店を出て、アパートに向かうとかえでちゃんに出会った。
「かえでね、おうちはいれないの。」
かえでちゃんは、泣きそうだった。
「パパ、おしごといくときにおうちのかぎポストのなかにおいてくの、わすれちゃったみたいなの。」
「ママは?」
「ママね、おいしゃさんなの。きょうは、おとまりでおしごと。」
「じゃあ、僕のお部屋でパパを待ってる?」
僕は、笑顔でかえでちゃんに聞いた。
「うん。」
かえでちゃんも、笑顔になる。僕は、笑い返そうとしたけれど、僕の部屋が騒がしくなり、それ所ではなくなった。
〜続く〜