希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

僕等の街で。

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  僕の引っ越したアパートは、築8年風呂・トイレ・洗面所・ガスコンロ付きの2DKで家賃は、桜が丘の平均家賃よりも同じアパートの他の部屋よりも、安くて共益費込みの1万5千円だった。
  僕の借りたこの部屋は、心霊現象の起こると近所でも、有名な曰く付きな部屋で長らく借り手がいない空き部屋らしかった。
  「大分、片付いたな。後は、押し入れに布団を…。」
  寝室の押し入れの戸を開けると、数枚の御札が目に付いた。僕は、躊躇せずに御札を全て剥がした。
  「こんな紙っぺらを貼ったって、効く訳ないじゃん。」
  世の中、ニセ霊能者が多すぎると、思う。テレビ出演している霊能者のほとんどが、それなのだ。
  「あ、引っ越しの挨拶しなくちゃ。」
  僕は、手拭いを持って隣室へ向かった。隣室は、子どもの声が響き、にぎやかだった。
  「うるさくて、ごめんね。僕は、南野祝太(しゅうた)です。こっちは、妻のさくら。それと…。」
  「みなみのかえで、5さいです!!おにいちゃんのおなまえは?」
  「僕は、隣に引っ越して来た桜井小狼(しゃおらん)です。」
  「しゃおらんって、へんなおなまえだねー。」
  さくらさんは、すかさずかえでちゃんを叱った。僕は、かえでちゃんに微笑むと、「お兄ちゃんのママは、日本人だけどパパが、中国人なんだ。」と、言った。
  「じゃあ、ハーフなんだね。」
  ハーフという言葉を知っているかえでちゃんが、おかしくて僕は、笑ってしまった。
  「桜井君、本当に隣に住むの?」
  祝太さんの目が、真剣になる。
  「そのつもりですけど。」
  「いたずらっ子な幽霊、出るよ。御札、貼ってあったでしょ?」
  「全部、インチキだったんではがしましたけど…。」
  「はがしたの?!」
  「ニセ霊能者の御札、あったって効かないですし。僕なら、御札なんて貼らないで、平和的に止めさせます。それでも、ダメなら強制的に成仏させます。」
  僕の言葉に祝太さんが、「と、いう事らしいよ。」と、言った。
  僕は、その時初めて、このアパートに住む幽霊を見た。薄汚れた服を着た男の子だった。
  「僕、あの子と仲良くなりたい!!」
  「桜井君なら、仲良くなれるよ。」
  この時から、僕と僕の部屋に長年住んでいる(?)幽霊との根比べが、始まったのだった。
 
 
 
〜続く〜