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落ち着きを取り戻した為吉君と、僕に葵とでお握りをリビングへと、運んだ。
「ピーチ、保護官してるって聞いてたけど、葵だったんだ。それと…。」
「おいら、鈴木為吉ってんだ。昭和7年9月1日生まれのちゃきちゃきの江戸っ子だい。」
「元々、この部屋に住んでたんだ。幽霊アパートに仕立て上げてた犯人。」
「ピーチさんが、保護してるって事は、何かある訳だ。」
夕君が、僕に聞く。
「天界の情報管理部の情報紛失により、扱いが分かんないって、大問題が起きてる。」
「何それ?!」
「亜由美も、そう思うでしょ?情報紛失の理由は、第二次世界大戦が勃発してて、世界中で死者多数だったから、天界が混乱してたらしいって。それをアルファの軽い言葉で、言われた身にもなってよ。」
「はぁ?情報紛失しといて、言い訳かよ。」
「アンジュ、口悪い!!」
「何時も、おしとやかに生きてたらストレス溜まるし。大体さ、本性バレてる相手に完全にOFFモードの時に猫被(かぶ)るヤツは大馬鹿者だろ。」
亜由美の言葉をバッサリ切り捨てる優衣の視線は、僕の膝の上で嬉しそうに座るみつに向いていた。
「気になるよね?高等部の部活棟にいた市松人形のみつ。捨てられそうだったのを引き取ったんだ。」
「直兄なら、女の子扱いしてくれるでしょ?」
「そうなの、このお着物私の為に縫ってくれたのよ♪」
みつが、自慢気に着物の袂(たもと)をヒラヒラさせた。
「みつ、ちょっと降りて。飲み物、持って来るから。」
僕は、マジョラム茶をコップに注いで戻ると、みつをまた膝の上に座らせた。
〜続く〜