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2006年2月11日(土)
大きなお腹を抱え、未來が見舞に来て、くれた。
「やっと、悪阻(つわり)が落ち着いたの。それとね、先月から高校休学中なんだ。」
未來が、母親の眼差しでお腹を撫でた。
「本当は、高校を辞めようかなって思ってたんだけど、休学の方が良いんじゃないかって。」
「未來、ごめん…。パパらしく…、なくて。」
「そんな事、ない!!葵は、葵なりに精一杯パパしてくれてる。」
「有り難う…。」
僕は、微笑む。
「この間ね、エディーさんに手作りのオムツケーキと青いベビー服をもらったんだ♪」
「オムツケーキ?」
僕が、初めて聞く単語だった。
「紙オムツで、ケーキみたいになってて…。あ、これ。」
ケータイの画像を未來が、見せてくれる。レースと、ガラガラとおしゃぶりで飾られた2つの真っ白なケーキだった。
「可愛い…。」
「後で、お礼しなきゃ…。海斗と、陸斗愛されてる…。」
僕は、おもむろに絵本を3冊取り出した。
「僕のお下がりだけど…。」
「2冊は、私も持ってた!!もう1冊は、手作りなんだね☆」
画材とか、趣味の物を売っているお店に売っている真っ白な絵本。それに手書きで、絵と文が、書かれていた。
「父さんの友人が、プレゼントしてくれたらしいんだ…。その人…、この絵本を書いた人で。」
「すごい!!」
「せっかくだし…、読んであげたいな。」
「陸斗、海斗良かったね♪パパが、ご本を読んでくれるって。」
絵本を読み始めたものの、喘息の発作が起こり、読み終わる事が出来なかった。
「ごめ…。」
「パパ、有り難う。」
未來が、微笑む。僕は、先程の発作で体力を消耗して、一気に老けてオジイチャンになった気がした。
「葵、少し寝る?」
「うん…。」
情けないと、落ち込む余裕もなく僕は、未來の言葉に従った。
「私、いるから。」
僕は、疲れきっていてすぐに深い眠りに落ちた。
〜続く〜