希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

愛と勇気と時々希望を持って

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1990年4月某日(日)
 
 
 
  直人は、cafe cloverの前に毎日いた。最初、僕は両親か誰かの帰りを待っているんだと思っていた。それにしては、変だと気付いたのは、土砂降りの雨の日も直人が傘もささずにずぶ濡れで、そこにいたからだった。
  「かぜ、ひいちゃうよ!!おみせ、はいって。」
  僕は、直人に声を掛けた。直人は、応えない。無表情で、そこから動かずにいた。
  「日本語、分からないんじゃないかな?」
  見かねた常連客の1人(僕に英会話を教えてくれているおじさん)が、僕に言った。そして、英語で直人に話し掛けた。それは、無駄に終わり別な常連客(僕が、頼み込んで中国語と、韓国語を教えてもらっていたお兄さん)が、「アジア系な顔してるから、アジア人じゃない?」と、韓国語と中国語で直人に話し掛けた。
  直人は、僕の差し出した手を払いのけると一言、「別触摸我。diu開不管。(ビエ チュー モー ウオ。ディウ カイ ブー グアン。)(僕に触るな。ほっといてくれ。)」と、強い口調で言った。
  僕は、引き下がらなかった。警戒心をあらわにしている直人の手を引き、2階のお風呂場へ向かった。片言の中国語で、僕は直人に話し掛けた。発音や、言葉の区切り等間違いだらけだったはずだが、伝わった様だ。
  「対被和善的事全然,没適應。(ドゥイ ベイ ホー シャン ダー シー チュエン ラン,メイ シー イン。)(優しくされる事に全然、慣れてなくて。)」
  直人の言葉からは、何も感情が伝わってこなかった。まるで、機械かロボットの様な感じだった。
  シャワーを浴び、ダイニングキッチンに向かうと、お昼になっていた。
  「やったー、オムライス!!」
  母さんが、手際良く2人前の昼食を作ってテーブルに並べた。
  「良かったら、食べてって。」
  母さんの言葉を何とか訳し、一緒にご飯を食べた。その間に僕は、勝手に自己紹介的な話をした。
  「想成為イ尓和,朋友。(シアン チョン ウェイ ニー ホー,ポン ヨウ。)(君と、友達になりたいんだ。)」と、いう言葉と気持ちを添えてだ。そして、少しだけれど直人の事を知る事が、出来た。
  「浅原園の施設長先生が、いらしてて、彼を捜してるみたいで…。」
  バイトの1人が、母さんを呼びに来た。
  「え?!浅原園の子だったの?!」
  慌てふためく母さんの様子と、単語で直人は、察したらしい。帰る事を渋った。
  「一起去ロ約。我,対一起也不滿。(イー チー チュー ヤオ。ウオ,ドゥイ イー チー イエ ブー マン。)(一緒に行こうよ。僕も、一緒に怒られるから。)」
  そう言って、僕は直人の手を引き、階下のcafe cloverへと向かった。
  「ごめんなさい!!」
  真っ先に僕が、謝ると浅原園の施設長・浅原朔さんは、「事件に巻き込まれていなくて、本当に本当に良かった。」と直人を抱き締めた。
  「cafe cloverさんにご迷惑をお掛けしてしまって、申し訳ない。シャワーと、洋服を借りてしまったうえにお昼迄…。」
  「迷惑だなんて、とんでもないわ。また何時でも遊びにいらっしゃいね。」
  僕は、精一杯の笑顔を作っていた。
  「なおとくんと、ぼくはともだちだよ!!」
  「トモダチ…?」
  「朋友(ポンヨウ)(友達)!!明天,一起也閑置。(ミン ティエン,イー チー イエ シエン ジー。)(明日も、一緒に遊ぼう。)等候着。(ドン ホウ ジャ。)(待っているから。)」
  僕の言葉に朔さんは、満足そうだった。僕に微笑むと、「葵君、何時でも遊びにおいで。」と、言ってくれた。
 
 
 
〜続く〜