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2005年10月9日(日)[4]
浅原園は、僕の両親の営むcafe cloverの前にある児童養護施設だ。住宅や、商店の建ち並ぶ場所にあるこの施設は器の大きな地域の人達に守られている。
「朔さん、小百合さん、皆、ただいま☆」
直人と、優衣ちゃんは、そう言って正面玄関から、中へ入った。僕は、「お邪魔しまーす。」と、笑顔で言いながら躊躇して居る鈴花の手を引き、中へ入った。
「直人君、優君お帰り♪葵君、いらっしゃい。それから…。」
肝っ玉母さんな浅原小百合さんが、割烹着姿で出迎えてくれた。優君とは、優衣ちゃんの事だ。
「あの…、今野…鈴花です。」
鈴花が、おずおずと答えた。
「鈴花ちゃんなの?!直人君に聞いてたけど、美人さんになったわね♪さあ、入って。」
小百合さんが、嬉しそうに言った。
その後ろでは、日本語と中国語の混じったおかしな大声が、響いていた。
「希望(きぼう)、ただいま!!」
直人が、舌打ちをしている男…崎本希望に話し掛けた。彼は、高等部の同窓生で浅原園に入所していた過去がある。今は、保育士の資格取得を目指して、桜が丘学園大の短大に通っていた。
「皆、お帰り&いらっしゃい!!葵、元気…じゃなさそうだね。お大事に…かな?後、お誕生日おめでとう♪」
「希望、有難う♪」
「直人は、相変わらず、多忙みたいだね。」
「まあね。希望は、龍南(ロナン)に手こずってる訳だ。」
「皆、手こずってるよ。何せ、直人以来だから中国語しか話せない子を預かるなんてって、園長が言ってたな。」
希望が、苦笑する。
「直兄よりは、マシって聞いたけど?」
すかさず、優衣ちゃんが茶々を入れる。
「優、マシって何だよ?!」
すかさず、直人が優衣ちゃんに言う。
「優君は、そうやって人を怒らせないの。」
優しく希望に諭され、 「はーい。」と、優衣ちゃんが答えた。
「そして、鈴花ちゃん、お帰りなさい♪」
「…ただいま。」
物凄く気まずい空気が、流れる。
「もう、ご飯の時間だね☆食堂、行こうか。」
希望は、気まずい空気を感じて明るく言った。
〜続く〜