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2005年9月15日(木)[1]
はるちゃんの作った台本の長い台詞(せりふ)をすらすらと、台本なしで言える人が、現れずに桜吹雪のメンバーは焦っている様子だった。
「はるちゃん、僕の所為(せい)で、ごめん…。」
僕は、いた堪(たま)れなかった。
「葵は、変な心配しなくて良いから。」
はるちゃんは、僕に優しく言ってくれた。
「僕、推薦したい人が、いるんだ。一度皆の前で、オーディションして欲しいんだけど、ダメ?」
僕は、ふとそんな事を言った。
「誰?!」
言った以上、続けた。
「桜井直人。」
「僕?!」
直人が、目を丸くしていた。
「台本の全てのセリフを一語一句間違えず、何ページの何行目か迄、完璧に覚えてるの直人位しか、いないって。」
直人が、逃げる口実をあれこれ考えている間に未來が、現れた。
「葵に教えて貰ったから、今度のケーキは失敗してないよ♪」
未來は、嬉しそうに言う。
「本当?この間みたいに変な物、入れてたりとか…。変な物、ブッ刺してたりとか…。未來なら、やりかねないからなー。」
僕は、最初のケーキがインパクト大で、不安だった。
「仕方ないでしょ?人生初の手作りケーキだったんだから!!」
未來は、僕にむくれてみせた。
「2人は、付き合ってんの?」
直人に聞かれて、「ヤーダ、分かっちゃった?!」と、オバサン口調で言い、はるちゃんに微笑んだ。
「ごめん、電話!!」
直人のケータイから、『最後の夏休み』の挿入歌、『最高の夏休み』が、流れる。直人が、歌っている直人の主演映画の曲だ。
「何か良い事が、有ったの?」
直人が、電話の内容に喜んでいた時に鈴花が、現れた。
「こないだの村っちと、僕だって!!」と、 興奮して、僕の手を握りながら、直人が言っていた時だった。村っちというのは、若手俳優の村井夢笛(むてき)の事だ。cafe cloverの常連だったりして、メルアドを交換したりと親交が、あった。
「おめでとー!!ねぇ、ねぇ。何時から?」
僕も、興奮していた。
「10月9日〜3ヶ月程。ウチの大学も、使うから、9日の7時頃に来る?10日も、同じ位からだけど…。」
「やった、楽しみ増えたっ☆」
僕は、記録ノートとスケジュール帳に予定として、書き込んだ。“祝☆”も、付け足した。
「有り難う!!」
直人は、最高の笑顔だった。
〜続く〜