希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

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愛と勇気と時々希望を持って

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2005年8月20日(土)
 
 
 
  午前中の特別補講を終え、僕はなるべく急いで、講堂へ向かった。本当なら、9月中旬迄夏休みなのだけれど、月曜日の午前中の振り替え授業全てにどうしても出られない僕の為にと朴先生が、学長を始め理事や、教科担当の先生方に頭を下げてくれ実現した事だった。
  「葵、おせーよ!!」
  ニノの言葉に僕は、「桜吹雪と、留年の危機を天秤に掛けたら留年の危機の方が、重いに決まってるだろ。」と、答えた。このやり取りは、一昨日からニノとしている。
  「桜吹雪から、留年する様な輩が出たら、桜吹雪から追放よ、追放!!」
  桜沢先輩が、全員を睨み付けた。それは、未來も例外ではなかった。
  「桜沢先輩、始めません?」
  僕は、負けじと桜沢先輩を見詰めた。
  「そうね、始めましょ。」
  8月に入り、始まった通し稽古はハードで、練習が終わる頃には、出演者皆ヘトヘトだった。
  「終わったぁ。」
  僕は、絶対皆に迷惑を掛けていると痛い程に感じている。唯一の救いは、東宮龍樹という男の設定が先天的な全盲で、病弱という設定な事だ。
  「暑くて、溶けそう…。」
  未來が、言う。
  「本当にね。」
  講堂の鍵を閉めるからと、1年の恭平君から僕は、半ば強引に講堂の鍵束を預かった。
  「葵の1番長い台詞、本当にド忘れしたの?間抜けな顔して、時が止まってたけど。」
  僕と、未來の2人っきりになると未來が、僕に聞く。
  「そんなに間抜けな顔してた?」
  「うん、してた。」
  「ごめん。」
  僕の言葉に未來が、笑う。
  「笑わないでよ。」
  「だって…。」
  僕も、笑う。
  「じゃあ、そこ練習する?」
  未來との居残り練習。毎回、何も言わなくても付き合ってくれて。
  「有り難う。」
  「私も、何倍も練習しなきゃいけないし。」
  「真面目だねぇ。」
  僕は、目を細める。
  「葵も、でしょ。」
  僕は、真面目ではなくて、桜沢先輩の夢を叶えたいという使命感で居残り練習をしている。
 
 
 
〜続く〜