希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

愛と勇気と時々希望を持って

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2005年6月1日(水)
[1]
 
 
  朝、普通に学校へ向かう。渋山駅から電車に乗り、4つ目の桜が丘駅で降りる。この何気ない動作をこの日の僕は、スコーンと忘れてしまった。
  気が付けば、僕は頭痛が、当たり前になってきてさほど気にしなくなっていた。正確には、気にする事を諦めたのだ。
  通勤ラッシュのピークを過ぎて、空いた車内。座席に座る余裕もあるが、僕は吊革に掴まり、立っていた。突然、それはやってきた。立っていられない程の頭痛。思わず、近くの手すりに掴まりしゃがみ込む。
  数分して、少しマシになり座席に座ると、降りる駅の駅名や幾つ目の駅かを忘れていた。定期券を見れば、良かったのだがそれを考えられない程のパニックと、不安に襲われた。
  不安な気持ちの僕を乗せ、電車は終点へ行ってしまう。仕方なく、ホームに降りると、ベンチに腰掛け半泣きで、直人のケータイにSOSの電話を入れた。
  「すぐに行くから、そこにいて!!」
  直人の言葉が、嬉しかった。今、思えば電話で教える事も、可能なのに来てくれると言ってくれた。多分、電話で指示する事を思い付く暇も、なかったからだろう。
  1時間程待っただろうか。
  「葵君、見付けた♪」
  僕を見付けて、悪戯っぽく直人が笑う。正確には、直人が解離性同一性障害(俗にいう多重人格)の持ち主なので、この場に来たのは直人ではなくて、女性人格の詩織ちゃんだった。
  詩織ちゃんが、現れた事で安心した僕は、不覚にも泣いてしまった。
  「詩織ちゃん、有り難う。」
  お礼を言うのが、やっとの僕の頭を泣き止む迄詩織ちゃんは、撫でてくれた。僕の安心する方法を詩織ちゃんは、知っていた。
  「有り難う、落ち着いた。」
  僕は、涙を拭う。
  「本当?」
  「うん。さっきは、ごめん。取り乱しちゃったりして。」
  「仕方ないよ。何時も通い慣れてるのに忘れちゃったんだから。」
  「もぉ、びっくりた!!頭痛が、酷くなってちょっとだけマシになったら、スコーンって忘れてんだもん。」
  僕は、詩織ちゃんに笑顔を見せた。精一杯の強がりだった。
   「あのね、直君が、朴先生に会ったの。葵君を連れて来てって。」
 詩織ちゃんの言葉に僕は、「だったら、さっさと行こ☆あ、迷子防止に手繋いでも、良いよね?」と、右手を出しすと詩織ちゃんの頬が、赤く染まる。
 「詩織ちゃん、こーゆーの照れるよね。服、掴んどくから良いよ。」
 僕は、詩織ちゃんのロンTの袖を掴んだ。
 「待って!!宜しくお願いします!!」
 「こちらこそ、宜しくお願いします☆」
 お見合いの様な感じで、僕等は手を繋いだ。
 
 
 
〜続く〜