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僕の次の仕事は、アニメにもなった人気漫画、“バスケのプリンス”のミュージカル。主役の佐藤紀親(のりちか)って、平々凡々な高校生役。
「青葉、バスプリの漫画全巻貸して。後、アニメと過去のミュージカルのDVD。」
葵が、青葉とかえでちゃんと、為吉君に作った朝食を前に青葉に僕は頼み込んだ。
「バスプリ、やっと興味持ってくれた?!」
「次の仕事が、佐藤紀親だからバスプリファンの青葉が、ガッカリしないように…。」
僕の言葉が、終わらないうちに青葉がバスプリの知識をあれこれ言い(ヲタクだから、内容がヲタク的。)、僕はそれを何度も、聞いているので右から、左へと受け流した。
「あおいくんは、おりょうりじょうずだね♪」
かえでちゃんに褒められ、葵はご機嫌だった。
「しゃおらんくん、きのうきつねさんになっちゃってたけど、パパもたまーになるよ。」
「そうなの?!」
「うん、パパはきつねのようかいだもん。ママはね、ふつうのおんなのひとだけど。あのね、しゃおらんくんとためちゃんと、あおばくんとあおくんにしかいってないひみつだから、他の人にシーだよ。」
かえでちゃんは、声のトーンを低くしてシーの仕草をした。僕は、それがおかしくて仕方がなかった。
「あ、ママ帰って来たよ。この距離だと、駅前辺りにいるっぽいね。」
「じゃあ、すぐ帰って来るかもね。だったら、アップルパイ持って帰って。確か、ママがアップルパイ、大好きだったよね?」
葵は、アップルパイをギフトボックスに詰め“冷蔵庫に保管し、本日中にお召し上がりください。”の文言のカードを添え(しっかりとした丁寧な美文字で、書いていた。)、青いりぼんを掛けた。
「ギフトボックスに詰めるの、手慣れてるな。でも、カードはいらなくね?cafe cloverの商品じゃないんだから。」
「あ、そっか!!そうだよね、そうだよ!!でも、入ってても良いか。」
葵の行動を見て、僕の心は懐かしい気持ちで、一杯になった。毎年、バレンタインに葵が配っていたお菓子にも、メッセージカードに“本日中にお召し上がりください。”の文言を入れていたのを思い出したからだった。
〜続く〜