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双子を送り届け、牛乳を買い僕が、アパートに戻るといなかったはずの葵と、為吉君がそこにいた。
「お帰りー。」
「ただいま♪」
「葵と、為吉君は何処にいたのさ。」
「クローゼットの中にずっと、隠れてたんだよね。」
葵が、隠れたくなるのは分からなくないが、為吉君迄隠れていたとは驚きだった。
「声、聞こえてたけど話を盛ったり、嘘吐(つ)いたりしてた。」
「葵が、忘れちゃってるだけだって。脳のあちこちに腫瘍が、あったから記憶が曖昧になってるんだと、思うけど?」
「そうなのかな?」
「そうだよ。」
葵は、納得のいかない顔をしていた。
「僕、葵の事を双子に語る時は嘘吐かないって、決めてた。本当の事や、僕の感じた気持ちをそのまま伝えようって。」
「最後、あの写真現像してたんだ。」
「エディーが、この前くれたんだ。データが、出て来たからって現像して、明和生命の写真コンテストに勝手に僕の名前で応募しちゃったみたい。」
「後で、文句言いに行こ。」
「しゃしんって、なぁに?」
興味津々なかえでちゃん。僕は、再びアルバムを開いた。
「あおくん、おんなのこみたいでかわいいね。」
「直人、牛乳を冷蔵庫に入れるの忘れないでよね。」
「葵じゃ、ないんだから…。」
僕は、葵にそう言ってキッチンの冷蔵庫を開けた。目に留まった冷蔵庫の棚を見て、僕の拳は怒りで、震えていた。
僕が、覚えているのはそこ迄で、気が付くと僕は、ベッドに寝ていた。
「僕、記憶飛んでるんだけど…。」
「小狼、熱出してぶっ倒れてさ。髪の色、透き通る様な青色で獣の耳生えてた。」
「何か、やらかさなかった…?」
「すぐに戻ったし、大丈夫。熱、まだ下がんないから、大人しく寝てて。」
今の僕は、体がだるく火照(ほて)っていた。なので、素直に従った。
〜続く〜