希乃子の小説、読んで下さいm(__)m

駄文な小説を書いてます。

愛と勇気と時々希望を持って

バックナンバー:merumo.ne.jpをドメイン許可にして、00605453s@merumo.ne.jpに空メールをお願いしますm(__)m
 
又は、こちら:
 
 
 
2005年5月30日(月)[2]
 
 
 
  「ねぇ、こっちじゃないの?」
  僕が、病院内の案内板とは違う方向へ向かった為鈴花が、聞く。
  「こっちの方が、迷いやすいけど近道だから。」
  途中、様々な人に出会い挨拶する。会う人、ほとんどが僕の名を知っていて、僕も相手の名を呼び、短い会話を交わす。
  「あおいにいちゃん、にんきものなんだね!!エコブルーには、まけるけどさ。」
  僕は、基準がエコブルー=直人なのかと苦笑してしまう。
  小児病棟付近の掲示板には、相変わらず看護師や、医師のコメントの書かれた模造紙が貼ってあった。僕が、4年前にイラストを描いたり貼ったりを手伝わされた。我ながら、力作だと思う。それと、注意書きやらお知らせやらが、貼ってあった。
  「“エコブルーのおにいさんと遊ぼう!今月はエコレッドのおにいさんもくるよ!”だって。桜木直也と、エディー・マッキャンってそんな事してんの?!予定日6月11日(土)午後2時〜3時。」
  “エコブルーのおにいさんと遊ぼう!”は、桜木直也=直人が去年から、毎月やっているボランティア活動。参加条件は、たった2つ。主治医の参加許可のあって、治療を頑張っている子。
  「うん。僕、体調良かったら手伝う予定なんだけど、2人が忙し過ぎて打ち合わせが、まだなんだよね。」
  「2人共、今売れてるもんね。」
  鈴花は、桜木直也が直人だって、気付いていない。直人が、誰にも言ってないし、普段目立たない様にしているからだろうけれど…。
  「あ、パパだ!!」
  朴先生は、丁度翔君の病室から、出て来た所だった。
  「葵に今野さん、ごめんね。ウチの翔が…。」
  「いえ、早く知らせたいって気持ち十二分に分かりますから。」
  「とにかく、有り難う。葵、無茶と我慢は、しないでよ。」
  「先生も、ね。」
  僕は、答える。吐き気止めが、効いてきたらしく幾分か楽になっていた。
  朴先生が、行ってしまうと鈴花が、口を開く。
  「翔君って、朴先生のお子さんだったんだ。」
  「パパ、あおいにいちゃんもみてるんだよ。」
  翔君の部屋は、大部屋で6人の子どもたちが、いる。
  「あおいにいちゃんだ!!いらっしゃーい。」
  扉近くの子が、言う。
  「歌音(うたね)ちゃん、今日は。柚希ちゃんは…?」
  「ゆずちゃん、たいいんしちゃったんだ。」
  「桃君は?」
  「桃君、外泊してるの。パパが、アメリカから帰って来てるそうよ。」
  この部屋の最年長は、12歳の輝羅(きら)ちゃん。小6にしては、おませな子だ。
  「ねぇ、ねぇ。おねえちゃんがね、おうたおしえてくれるんだって。」
  「お姉ちゃん、葵お兄ちゃんの彼女?」
  唐突に輝羅ちゃんが、聞く。
  「幼馴染みなんだ。」
  「ふーん。お兄ちゃん、付き合ってるのかと思った。」
  「残念ながら、違うから。」
  否定する僕。
  「あ、分かった!!元カノさんに未練タラタラで、彼女いないんだ。」
  大体、当たっているので僕の頬が、赤くなる。
  「未練なんかないって…。」
  ただ、元カノ…桜沢先輩の言葉が気になっていたけれど。
 
 
 
〜続く〜