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2005年5月30日(月)[1]
晴れ渡った空。5月の太陽が、眩しい。そんな今日、大学の敷地内にあるベンチに座る僕の手にはやっと、手に入れた月刊ACTORと地球戦隊エコレンジャーのファンブック。
「今日みたいな天気なら、お弁当持ってピクニック行きたいなぁって、思わない?」
鈴花が、僕に聞く。
「そうだね。行くなら、綺麗な湖の畔(ほとり)とか良いな。」
「桜が丘展望台で良いなら、行く?」
「今から?!」
「そ、臨時休講で今日の授業なくなったし。」
「また、今度じゃダメかな?」
抗癌剤を点滴していたので、僕の体は酷い倦怠感に襲われていた。それに食欲の湧かない状態で、カロリンメイトを食べてから吐き気が、する。とても、展望台に登ろうなんて気になれない。
「分かった。葵、一応病み上がりだから今度にしとこうか。直人、いないし。」
「ごめんね。」
僕は、笑顔を作るのも精一杯だった。
「あおいにいちゃん、みーつけたっ!!」
可愛い声に無邪気な笑顔。
「翔君!!」
僕は、驚いて飛び上がりそうだった。
「病室、抜け出して来たの?!パパと、姫島先生に怒られちゃうよ。」
「だって、すぐにあおいにいちゃんにいいたいことがあって。おみみかして!!」
凄く嬉しい事が、あったのが分かる。
「こんどぼく、しゅじゅつするんだ。しゅじゅつしたら、げんきになってねサッカーとか、おにごっことかやりたいこと、ぜんぶするの!!」
翔君が、笑う。
「おめでとぉ!!」
僕は、翔君を抱き締めた。
「ありがとう。あおいにいちゃんも、はやくげんきになりますように。」
「有り難う。」
僕は、笑顔を返す。
「あおいにいちゃんのでんわ、なってる!!」
エコレンジャーのオープニング曲が、ケータイから流れる。相手は、朴先生=翔君のパパ。
「翔君、パパにバレてる…。送ってくから、帰ろ。」
「パパ、おこるかな?」
「じゃあ、怒らないように言ってみようよ。」
僕は、リュックサックに雑誌をしまうと翔君と手を繋いだ。
「鈴花も、来て。僕、翔君のパパ苦手なんだよね…。」
僕が、言うと翔君が、「おねえちゃんも、てをつなご。」と、鈴花に手を差し出した。
「仕方ないなぁ。行って、あげるよ。」
3人で、手を繋ぐ。そして、翔君が最近覚えたらしい“こどもの世界”を歌った。
「この曲、小さな世界のメロディーなんだね。」
鈴花は、こどもの世界を知らなかった様だ。
「おねえちゃんに、パパにごめんなさいしてからおしえてあげるね。ねぇねぇちいさなせかいって、どんなおうた?」
「ぼく、びょういんよりとおくにいったことないの。」
「ごめんね。じゃあ、病室着いたらお姉ちゃんも、教えてあげる。」
鈴花が、笑顔で翔君に言った。
〜続く〜