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2005年4月28日(木)
誰もいない静まり返った脳神経外科の待ち合い室。僕は、朴先生に呼び出され最短ルートで、そこに来ていた。
「先生、覚悟出来てるよ。」
目の前に立つ、朴先生に僕は言った。
「中、入って。」
促され、診察室の丸椅子に腰掛ける。
CTの画像を貼り付け、朴先生が口を開く。
「葵、相当酷いよ。こことか、特に。」
僕の脳内は、腫瘍だらけだった。
「これで、日常生活やってけたね。」
「僕も、びっくりです…。」
「今のところ所、転移してるのは脳内だけみたいだね。」
「あのっ。僕、どれ位…。」
「今日から1年過ぎて生存してたら奇跡だね。」
「1年…。」
僕は、目を閉じる。
「これから、どうしたい?」
目を開け、「僕、早く退院して、普通に過ごしたい。だけど、何もしないのは嫌だ…。」と、僕は答える。脳腫瘍が、再発すると仮定して、考えていた答えだ。
「そう言うと、思ったよ。学生課行って、葵の時間割を調べといた。月曜日の午前中、丸々空いてるみたいだね。土曜日の午後も、丸々空いてる。」
朴先生は、眼鏡を持ち上げる。
「毎週月曜日と、何かあったら必ず病院に来る事。月曜日は、抗癌剤点滴するから必ず来る様に。後、薬を忘れずに飲む事。」
僕は、「精一杯、頑張るね。」と、笑顔で答える。泣き虫な僕だけど、なるべく泣かないと決めた。泣き虫卒業は、難しいかもしれないから、そう決めた。
「葵、成長してる。」
「あ、先生。翔君に頭ごなしにダメって、言っちゃダメですよ。」
「そっか、それで…。」
「翔君の拙い言葉で、病気の事を聞いてて。それっぽい事、言っちゃいました。心臓、疲れやすいんだって。」
「有り難う。翔に謝らないとな。」
朴先生は、苦笑しながら僕に言った。
〜続く〜